【図書室の君は梅の味】第五章
帰りの予鈴がなる。
私は少し急ぎ足で。なおかつ走らないで、図書室に向かった。
ガラっとドアを開けたその先には…――――――
あれ、と思ったその瞬間不安が一気に襲いかかってきた。
また…またあの時みたいに急にどこかに行くんじゃないのか?と。
(探しに行こう!!)
そう思ったのに
「さぁ!始めよう!ささ、すわれすわれ。」
と、先生の甲高い声が耳に響いた。
「先生、凌は?」
焦りを隠しながら聞く。
「え?あぁ、駒井なら今お腹痛いとか言って帰ってったぞ。」
焦りがほどけてもぅ、という気持ちになる。
「今日は数学な!」
「はーい…( ´△`)」
――――――今日の補修は凄く長く感じた。
疲れた。今日はちっとも楽しくなかった。
そう思いながら靴箱に向かうと。
「よぉ。」
靴箱に寄りかかってこちらをちらっと見る凌がいた。
「な…にしてんの?帰ったんじゃ。。。」
何が何だかわからなかった。
「…ん―――――、…おまえ待ってた。」
「。。。え、なんで。。。」
「なんでだと思う?」
凌の顔が赤くなってきているのがわかった。
私も徐々に赤くなってきているのが、自分でもわかった。